2016.11.01更新
2016 Winter Special Interview
伝統の美しさを未来へと結ぶ奥順の結城紬
エクセルのシーズンビジュアルでモデルの背景にかかる色とりどりのショールは、「YŪKI OKUJUN」ブランドの石下結城紬によるもの。本場結城紬と基本的な製織工程は共通していますが、糸のつくり方を変えることで、動力機でも織れるように強度を持たせています。効率化した技法で、真綿紬の風合いをより多くの方に親しんでもらえるようにという想いから生まれました。明るく華やかな色柄や絣模様など、新鮮なデザインが数多く揃い、ファッションの一部として楽しめるのが特徴。着物のための高級な生地として知られる結城紬ですが、実はとても肌触りが良くふんわりとした風合いを持っています。その魅力をもっと多くの方に知ってもらいたいという願いから、YŪKI OKUJUNでは素材感を大切にしながら、糸の太さや密度、織り方、デザインを工夫することで、暮らしにとけこむものづくりを叶えています。
伝統をモダンにアレンジして取り入れやすく
案内をご担当していただいた奥順の国府田さんにも「YŪKI OKUJUN」についての取り組みと想いを伺いました。「ショールは実際素肌に身につけて真綿の良さを直に感じることができ、その心地良さは他の素材には真似できません。そのことも含め、『YŪKI OKUJUN』はショールメインでやっていきたいと考えています。『YŪKI OKUJUN』や『OKUJUN』では、伝統の柄をブラッシュアップしたり今までにないモダンでキャッチーな柄を提案したり、ファブリックでも新たな試みを日々模索しています。本場結城紬でそれらを叶えようとすると厳格な検査規定があり、多くの時間や手間がかかりますが、石下結城紬なら生産者に相談し、比較的制約のない自由なものづくりができます。着物としてだけでなく、ショールにすることで軽さや柔らかさをより一層感じられる……そこから結城紬に興味を持っていただき、ゆくゆくは着物へと発展していくのが理想の流れですね」。伝統と革新が出合い重なることで、より多くの人へと魅力を伝えていく。美しく織りをなす紬のように、未来への可能性が一直線につむがれていくイメージが、ふっと浮かぶようでした。
Profile
奥順株式会社
創業明治40年（1907年）。創業以来産地の機屋と連携しながら、結城紬の企画とデザイン及び販売流通を請け負う「製造問屋」として、産地の発展に寄与する。2006年には資料館を含む総合ミュージアム「つむぎの館」を敷地内にオープン。近年では従来のきもの生地に加えて、ショールや服地など新しい商品・生地開発を積極的に行い、今の暮らしにとけこむ製品づくりにも尽力している。
Access
〒307-0001 茨城県結城市大字結城12-2
Tel.0296-33-5633
電車の場合：JR水戸線「結城駅」北口より徒歩約10分
お車の場合：東北自動車道 佐野・藤岡IC→小山方面 国道50号→結城／常磐自動車道 谷和原IC→国道294号→国道50号→結城／北関東自動車道 桜川・筑西IC→下館方面 国道50号→結城
※カーナビに「奥順株式会社」と入力で所在地がでます。