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2016.5.16更新

2016 Summer Special Interview
伝統と革新のその先へ すずも提灯が照らす明るい未来

―撮影の現場でも、「すずも提灯」の音に反応するスイッチ機能や、起き上がり小法師のように動く仕様に驚きの声が上がりました。

すずも提灯は、五感に訴えかけるコミュニケーションツールとしてすごくいいんですよ。(お店の照明を全て落とす)こうやってテーブルの間に置けば、お互いの目が柔らかい光で包まれるでしょう。この光はゆらぎをプログラムしたLEDで、本物のロウソクを使用しているような灯りを演出できる。使う人の気分に合わせてゆらぎの度合いも選べるんです。光やデザインが変わることで、提灯を置く場所や場の雰囲気も変わっていく。提灯を通じて、暮らしに新たな佇まいが生まれるのも、すずも提灯の大きな魅力だと思いますね。

7代目当主の鈴木隆太郎さん。店内には、すずも提灯の他にも伝統的な水府提灯が並んでいる。

提灯の根元的な面白さを発信し続ける

―今回ご協力いただいたり、SNSで提灯解説ムービーを流すなど「提灯を広めていく」ことをポジティブに捉えているように感じます。

もともと、鈴木茂兵衛商店はホームページを開設するのが早かったんです。今から19年前にはもうつくっていて。その間、我々の業界も変わっていって、水府提灯づくりを行うのは3店舗だけになってしまった。そんな時にインターネットで何が発信できるかをあらためて考えると、遠方の方にも「提灯って面白い」と興味を持ってもらうのがいいと思ったんです。やっぱり皆さん、直接目で見て触れることで、理解したり、楽しんでもらえている部分が多い。なので、遠方の方には動画やホームページで、近隣の方には老若男女問わず、ぜひお店に遊びにきて、提灯に触れて欲しいと思っています。近年は、そうした想いからコラボレーションはもちろん、提灯を手づくりするワークショップも行っているんです。

従来の提灯は何本もの竹ひごを使うが、すずも提灯の型は1本のペット樹脂を巻いて成形を行う。

―今後の鈴木茂兵衛商店の展望についてお聞かせください。

すずも提灯は、「畳める」という提灯のスタイルを保ったまま、今後はより楽しめるものをつくりたいですね。素材を工夫することによって、さらに進化していくと思います。ただ、あくまでそういった活動の下支えをしているのは旧来の伝統的な提灯でもあります。お盆やお祭りにお店の看板として……提灯を使う風習や場所があるからこそ、こういった先進的な動きができる。提灯という三次元のキャンバスを使って、いかに目の前にいるお客様のイメージを形にできるか。どんなスタイルの提灯をつくるにしても、この姿勢はずっと大切にしていきたいですね。

Profile

株式会社 鈴木茂兵衛商店

慶応元年(1865)、茨城県水戸市に創業した水府提灯の老舗。現当主は七代目にあたる鈴木隆太郎。「灯りのやさしさ」「形の美しさ」にこだわりながら、提灯の魅力を伝統工芸の枠を超えて発信している。グッドデザイン賞(2012)、偕楽園「夜・梅・祭」装飾(2009~2016)、DESIGNTIDE TOKYO出展(2011~2013)など国内外で受賞出展歴多数。

Access

〒310-0055 茨城県水戸市袴塚1-7-5
Tel.029-221-3966 Fax.029-231-7862

お車の場合:常磐自動車道水戸ICより国道50号経由 約7km/常磐自動車道那珂ICより国道118号経由 約8.5km/常磐自動車道水戸北スマートICより国道123号・118号経由 約3.5km
公共交通の場合:JR常磐線「水戸駅」より栄町経由茨大前行きバスで約15分。「盲学校前」バス停下車すぐ

photo/Yukiko Saito , text/Megumi Murayama